

めちゃくちゃおもしろかった!
『兄弟』
『西遊記』や『水滸伝』を読んでるかのような個性の強い登場人物たちがたくさん出てきて、
とんでもないドタバタ劇を繰り広げたり、かと思うとシェイクスピアの『ハムレット』のような
悲劇もあったりして、本を読んでいる最中、10分おきに泣いたり笑ったりしていました。
文体もストーリーもすごいエネルギーに満ちていて、それがまた中国っぽくていい感じ。
著者の余華も、あとがきでこんな風に書いています。
「長い間ずっと、こんな作品を書きたいと考えていました。極端な悲劇と極端な喜劇が
一緒くたになった作品を。なぜかといえば、この四十年あまり、我々の生活はまさに
極端から極端に向かうものだったからです。」
著者が住む中国でも2005年に100万部を超えるベストセラーとなり、
賞賛と批判の大論争を呼んだそうです。
ちなみに上巻の≪文革篇≫の紹介文はこんな感じ。
「母さん、安心して。
最後に一杯しかご飯がなかったら、
弟に食べさせてあげる」
隣人が隣人をおとしいれる文革の時代に、
出会ったふたつの家族。
男は、やさしい男の子をつれ、
女は、つよい男の子をつれていた。
ふたつの家族はひとつになり、
ふたりは兄弟になった。
十億人が感涙!
そして下巻の≪開放経済篇≫の紹介文はこんな感じです。
「処女膜ってのは
いかにもまぬけなもんだな」
問題児だった弟は、商機をみつけ大富豪に。
実直だった兄は、職を失い落ちぶれる。
処女膜美人コンテストに豊胸クリーム行商。
欲が欲をよぶ開放経済の荒野の果てに、
兄と弟がみたものは?
十億人が激怒!
書評担当:175
