
去年のクリスマスイブの僕はトナカイで、商店街を闊歩する僕の隣りには可愛いサンタがいて、
僕の部屋には友達が集まり、わいわい楽しい一夜だったけど、
今年のクリスマスイブの僕は、トナカイじゃなかった。
むしろ人間だった。
人間だったら、映画を観たりプリクラを撮ったりレストランに行ったり
展望台で夜景を見たりイルミネーションを見たりしたい。
そして、一人で映画を観たりプリクラ撮ったりレストランに行ったり
夜景やイルミネーションを見たりすることもできなくはないけれど、
できれば、誰かと一緒に経験したい、少なくともプリクラは2人以上で撮りたい。
人間は、寂しがり屋の生き物です。
そこで、僕は、ミス・ガンジーを誘ってみた。
それはとても唐突な誘いだったけど、さすが無抵抗主義が信条のガンジーさん、
誘いを拒んだりはしない。
あっさりOKとの返事で、僕はガンジーさんとクリスマスイブにデートすることになった。
そんな無抵抗運動中のガンジーさんは、すごい人見知りで、実は、知り合ってからこれまで
何回も会ってるのに、いまだに僕は、打ち解けた感じがあまりしない。
でも、2年ぶりに人間として迎えるクリスマスイブなので、
ウン年ぶりに女の子と二人で過ごすクリスマスイブなので、
僕は、なんとしても楽しい一夜を演出しようと心に誓ったのだった。
この日の夕方に待ち合わせたガンジーさんと僕が最初に向かったのは、映画館。
観たのは、『リトル・ミス・サンシャイン』
事前に、この映画観たいので付き合ってとお願いしたとき、ガンジーさんは、
無抵抗に、いいですよと言った。
その際にガンジーさんは、映画の予告編で知って観たいと思っていたと言ってくれたが、
本音はどうだったか分からない。
でも、たとえ興味がなかったにしろ、おそらく無抵抗主義を貫き、ついてきてくれただろう。
ガンジーさんの姿勢は、いつも一環していて、胸を打たれる。
果たして、映画には、ガンジーさんも僕も大満足だった。
映画の後、映画館の隣りにあるゲームセンターに立ち寄った。
数年ぶりに入ったプリクラコーナーはまるで異世界で、前に並んでる人も後ろに並んでる人も
隣りに並んでる人も、みんな制服を着たり私服を着たりしている高校生で、
明らかに場違いな僕と一緒にいることは、ガンジーさんは恥ずかしかったに違いないけれど、
どうしても撮るんだと言い張る僕に一切抵抗することなく、僕の隣りで並んでくれた。
撮影の間1ショットごとに、腕を組んだり手をつないだり腰に手を回したりする僕に対しても、
引き続き無抵抗運動を続けるガンジーさん。
どこまでもなされるがままのガンジーさん、
嗚呼、それでいいのか・・・
写真の出来栄えに満足した僕は、次に、
広尾にあるお洒落な地中海料理のレストランへと向かった。
ここでも、ガンジーさんは、無抵抗だ。
何も知らず、何も言わずに僕の後ろをついてくる。
コースの料理に合わせて飲むシャンパン、ワインのオーダーも、全て僕の決めるがまま。
ん?
もしかして何も考えてないだけじゃないのか?という疑問がふとよぎるも、
深くは考えないことにする。
ともかく、ガンジーさんが、料理とお酒、お店の雰囲気、店員さんの接客など、
僕が選んだお店に大満足してくれたのは間違いない、
けど、お店の場所も名前も覚えてないことも、これまた間違いないところだ。
さて、ディナーの後は、六本木ヒルズへ。
ここに至っては、ガンジーさんは、何も考えていないことがもはや明らかだ。
ただただ、僕についてくるだけ。
52階の展望台は、愛を語りあうカップルで溢れていた。
僕は、クリスマスプレゼントをガンジーさんに渡した。
ガンジーさんの親友の女の子から事前に聞き出していた情報をもとに、用意したものだ。
百貨店に行って高価な宝石の一つでも買っても良かったけれど、そうじゃないんだって、気づいた。
プレゼントをもらって嬉しいのは、相手のことを考え、喜ぶ顔を想像して準備に時間を費やす、
そのことが相手に伝わるからなんだ。
そう思ったから、僕は、時間をかけることを選んだ。
だから僕は、あえてダイヤモンドではなく、みかんを選んだ。
決して予算を1,000円以内に抑えようとか思ったわけではないことだけは、
はっきり言っておきたい。
なんにせよ、僕のプレゼントを喜ぶガンジーさん(もしかしたらレストランのディナーよりも
喜んでいたかもしれない)の姿を見て、ベストと思えるみかんを見つけるまで
何軒ものお店を探し回った甲斐があったと、思った。
ガンジーさんもプレゼントを用意していてくれたことが、あまりにも意外で嬉しかった。
それにしても、東京の夜景は、美しい。
六本木ヒルズから見えるライトアップされた東京タワー、首都高を流れるテールランプなど、
その美しさに、ガンジーさんは、しばし言葉を失っていた。

そんなガンジーさんを、僕は後ろからそっと抱き寄せた。
そして、無抵抗の彼女に、僕は、顔を近づけ、、、(以下略)
無抵抗を貫いた偉大なるガンジー牧師の精神を受け継ぐ者が、ここにいる。
つづく(かも)。
匿名希望C




eve date
teti
あ・名前出しちゃった
不自然な手の組み方に見えますが、
気のせいでしょうか。