
今年の4月、ロシアの数少ない独立系新聞「ノバヤ・ガゼータ」の記事を、
ある雑誌で読みました。
昨年末、チェチェン共和国北東部の学校で多数の中毒患者が発生した。
患者には、意識不明の昏睡状態、発作、記憶喪失、呼吸困難といった症状が見られた。
事件発生からずっと患者を診続けてきた医師は、
「これは謎の病原体による中毒症だ。」と主張していたが、
ロシア連邦政府とチェチェン共和国政府から派遣されてきた対策委員会のメンバーは、
「マスコミが過度に騒ぎ立てたため、子供たちは発作のふりをしている。」と断言した。
この記事を書いたロシア人女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤさん(48歳)は、
当時首相だったプーチン現大統領がチェチェンに侵攻した1999年から、
現場の取材を始めました。住民の惨状を訴え、政権側だけでなく武装勢力も等しく非難し、
一貫して犠牲者である住民の目線で報道を続けてきました。
2002年のモスクワ劇場占拠事件では、ひとり劇場に入り、武装勢力と交渉し、
2004年のベスラン学校占拠事件でも交渉仲介に名乗りを上げましたが、
現場に向かう飛行機内で毒を盛られて意識を失いました。
しかし、「人間として責任があるから。」その後も生命の危険を承知で活動を続けていました。
ロシアにもこういう人がいるんだなあとずっと印象に残っていたのですが、
10月7日の新聞に、アンナさんが射殺されたという記事が載っていました。
犯人は、不明だそうです。
調査員:175
アンナさんの記事を書いて保存しといたた翌日(2006年11月19日)、
毎日新聞にこんな記事が。
ロシアのプーチン大統領を批判し、英国に亡命したロシア連邦保安庁の元幹部が
ロンドンで毒殺未遂に遭った疑いが強まり、ロンドン警視庁が捜査に乗り出した。
元幹部は、チェチェン独立派への対応などでプーチン政権を批判した
著名女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさん殺害事件に関する
情報を入手した11月1日に体調を崩し、現在は生命が危険な状態という。
元幹部と知人らは、「ロシア当局による犯行」と主張している。
元幹部は先週、ロシアのインターネット・メディアのインタビューを受け、
「入手した書類は(アンナさん殺害)事件に関与した職員を名指ししている」
と証言していた。
ほんとロシア怖いわー・・・


毒殺されたロシア連邦保安庁の元幹部リトビネンコさんは、
ロンドンのホテルで、元FSB職員ルゴボイさん、
ロシア人実業家コフツンさんと会い、
その直後、体調を崩し、死亡しました。
ロンドン警視庁の要請を受け、コフツンさんは、昨日、
ロシア検察から事情聴取を受けていましたが、
聴取の直後、リトビネンコさんと同じ
放射能障害とみられる症状が出て、
こん睡状態となっています。
ほんと恐ろしい国だ・・・
ボルシチはとてもおいしいけど。