「親殺し、子殺し」と、聞くだけで気分が悪くなり、その一日がどんより
もやもやしてしまうようなニュースが巷を賑わすことが少なくない昨今。
「家族とは」、「親子関係とは」とかいうと小難しくなるので、
中でも男に生まれたからには特別な存在である「母ちゃん」というものについて、
26歳独身男の視点で母の日でもなんでもないですが、秋の夜長に考えてみました。
「母ちゃん」、「おかん」「ママ」、「母上」、「mother」とその呼び名は各人各様、
地域、家柄、時代、お国柄により呼び方は様々ですが、男はその存在に、
程度の差こそあれ、一種共通する感情を抱いているはずです。
【近くにいると小五月蝿くて本当に鬱陶しいが、
遠く離れてみるとなんとも言えない暖かさが懐かしくなる】。
私が毎年、盆暮れ正月と実家に赴くのは
そんな暖かさに触れたくなるからかもしれません。

(本文と写真はほとんど関係ありません。あくまでイメージです。)
そんな私の温もりである「母ちゃん」は北の外れで生まれ、育ち、
これまた北の外れで育った男と結婚し、公務員として働く傍ら、
一男一女を育て、姑には当然の如くいびられ、冬の大雪にも負けず、
現在50半ばになろうとしています。
私が小学生の頃の母ちゃんは、当時通っていた公文の計算問題で
何度も同じ間違いをする私をティッシュの箱で角打し、
椅子から突き落とすような心身両面において教育熱心な母親でした。
そのおかげで体が丈夫で少々頭が・・・な現在の私があり感謝してもしきれません。
中学生の頃には、優等生だった私が年に一度くらい悪い仲間と犯す
若気の至りの尻拭いのため、学校の先生やご迷惑をおかけした家庭の親御さんに
頭を下げ続けていました。涙を流し平身低頭で謝罪している母ちゃんの姿を
後ろから見つめていたのを今でも覚えています。
その時、人様に迷惑をかけると自分ばかりか自分に深く関係している大切な人にまで
嫌な思いをさせてしまうということを背中で教えてもらった気がしました。
気に入る髪型にしてくれる床屋がない小都市にイライラを募らせていた高校生の頃、
私は、母ちゃんに対し、「バカ、阿呆、くそ婆」等、なんともかわい気の無い発言で
憂さを晴らしていました。
そのような息子の言葉を聞き流すくらいの余裕がある懐の広い母ちゃんのはずでしたが、
その日は違いました。
その言葉を聞くや否や激怒し一目散に台所に駆けて行きました。
その刹那、「ヤバイ、包丁持ってきて刺されるかも。当家にとって初の
ワイドショーネタ発生か・・・」という悪い予感が頭の中を巡りました。
が、次に現れた母ちゃんは、隣の自家農園で収穫され、地域コミュニティの古き良き慣習
であるお裾分けされた【土のついた大根】を握りしめ私を殴打しました。
真二つに割れ、床に転がった新鮮な野菜を見て、食べ物は粗末にしては
いけないということを知りました。
この頃からこの母ちゃんという生き物はなんともかわいらしい存在だと思い始めました。

(本文と写真はあまり関係ありません。あくまでイメージです。)
それからの母ちゃんは歳を重ねるごとに面白さに拍車がかかり、更年期障害も何のその、
寝ながら(熟睡)、あんドーナツやその他食べ物を無意識のうちに食べるという芸当を披露し
体重が増加することでそのがっかりな事実を認識し打ちひしがれ、
糞田舎で年に2回開催されるフリーマーケットでは私や妹の着古した洋服、
結婚式の引き出物のグラスや皿、そして、先端恐怖症の私が高校時代に家庭科の授業で
眼を細めながらミシン針と格闘し作成した縫い目がジグザグなチェックのシャツを
ラルフローレンのシャツだと本気で思い込み、何も知らない田舎の善良な市民に
売り捌いたりしています。
そして、現在。
母ちゃんは自分の残り少ない人生を本気で楽しく生きようと決意したようです。
退職金はおやじにも一男一女にも一切渡さず、全て自分で使い切ると高らかに宣言しました。
最近旅行したタイでは象に乗ったとまるで夢見る少女のような表情で語りかけてきますし、
次は親日的な台湾に行きたいとはしゃいでいます。
投資にも関心があるようで、田舎の誰も住まなくなった北海道電力の社宅を買い取り
賃貸物件として転がせないか、インドに行くならネットで販売したいからと
布や木の蔓で作った籠を輸入できるようインド人とのコネを作ってきてくれ等、
儲かりそうな要素が一つもない無謀な発言を繰り返していますが、
それもまた微笑ましいものです。
【母ちゃんとは、歳を重ねれば重ねるほど自分の欲望に忠実に生き始め、
端から見ていると面白おかしく、そして憎めないかわいらしい生き物である。】
そんな母ちゃんへの願いはただ一つ。
だめ息子やおやじのために自分の時間や楽しみを犠牲とし生きてきた四半世紀。
人生の折り返し地点をちょっと過ぎてはいますが、思う存分自分の欲望に忠実に、
笑い転げて生活して欲しいと思います。
※ 軽マザーコンプレックスをお持ちの大多数の男達には、
リリー・フランキー著「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」がお勧めです。
通勤電車の中で、あるページに差し掛かり本を閉じ、帰宅してから本を開き
号泣するくらい秋の夜長にはうってつけの書籍です。
たまに担当:さくらんぼ男
おまけ
母ちゃんからたまに手紙がきます。
蔵ぼこへ
風邪などひかないで元気でお過ごしですか。
2/14はバレンタインデーですので、ささやかですが母から「チョコ」を送ります。
食べてください。
本当にささやかな心配り感謝しています。




素敵なママさんに育てられてますね(^^)