やっとこの映画を観ることができました。
予想していたよりはよくできていましたが、それでもやはり
こんな映画がアカデミー賞をとったのかと思うと残念です。
『ザ・コーブ』
もともとぼくは、クジラの肉を食べるということについては、特に興味も無く、
「世界で捕鯨反対の動きが強いみたいだから鯨食なんかやめたら?」くらいに
しか思ってなかったのですが、先日の大震災の後、米国の大新聞に、
“津波が捕鯨の町をやっつけた!”といって喜ぶ記事が掲載されたことを知り、
何でそこまで鯨食を目の敵にするんだろうと思い、強く興味を持ちました。
まず、日本側が捕鯨を続けるのは、“鯨食は、日本の食文化だから”という
ことがその最大の理由なようですが、これは理由として非常に弱い。
確かに、日本は縄文時代から鯨食を続けてきているのかもしれませんが、
この映画で指摘されているように、今の日本人の多くは、クジラやイルカの肉
を食べませんし、そもそも食べられることすら知らない人も増えているんじゃ
ないかと思います。
また、アフリカの一部には今でも女子割礼という非人道的な文化がありますが、
これを文化だから続けるんだと言われても、「はいどうぞ」とはなりません。
だから、文化だからという理由は弱い。
そうではなくて、生態系を守りつつ、適切な数のクジラやイルカを獲っているん
だから何が悪い!ガタガタ言うな!というのが正しい理由付けなんだと思います。
(日本は、絶滅危惧種の大型クジラなどを、もちろん獲っていません。)
これに対して、捕鯨反対派が言ってくる反論はいくつか考えられますが、
まず、「あんなに頭がいいかわいい生き物なのに残酷だ」ということ。
これは、捕鯨反対派の最大の理屈のようですが、全く意味不明。
牛や豚を含め、生き物のいのちを奪うシーンは、とても残酷です。
(何年か前に、『いのちの食べかた』という映画を観て、しばらく牛肉を
食べれなくなりました。)
この映画でも、入り江に追い込まれたイルカが殺され、海水が真っ赤に
染まるシーンが、最大の目玉のシーンとして出てきますが、こんなのは
捕鯨反対の理由には全くなりません。
そして、「かわいいからダメ」とか「頭がいいからダメ」とかいうのは、
全くナンセンスで、こんな理屈が通るなら、ヒンドゥー教徒にとって
神聖な動物である牛だって、「神聖なんだから」食べたらいけません。
「牛や豚は人間が飼育しているから食べていいんだ」という理屈もある
ようですが、この理屈は、「だったら臓器移植用のクローン人間を飼育
してもいいのか?」という話に繋がっていきます。
結局、絶滅危惧種だとかいった特別な事情が無いのであれば、
食べる人は食べる、食べない人は食べないでいいのではないかと。
これからも、エコテロリストと呼ばれている犯罪者集団のシー・シェパードは、
大人気TV番組「Whale Wars」(現在なんとSeason4!)の視聴率稼ぎの為に、
より過激に日本に対する捕鯨妨害活動をし続けるでしょうし、
捕鯨問題に興味がない日本人は、昔のぼくのように、「捕鯨なんて別に
もうやめたら?」と思うんでしょうが、問題の真実を少し知ったからには、
ぼくは断固として鯨肉を食べていこうと決めました。
この映画を観て、内容を鵜呑みにせずに、感情的にならずに、捕鯨問題に
興味を持つ日本人が増え、日本の鯨食文化の復活に繋がるといいなと思います。
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