2011年04月09日

『歪んだ権威・密着ルポ日本医師会』 辰濃哲郎

 

日医とか日教組とか連合とか、名前は知ってるけど実態はよく知らない団体って
いろいろありますが、そのひとつ、日本医師会を著者が4年間にわたって取材して書き上げた
という本を読んでみました。

歪んだ権威・密着ルポ日本医師会〜積怨と権力闘争の舞台裏

日本医師会は北里柴三郎が1916年に創立した団体で、現在約16万人の会員(医者)がいます。
そして、この16万人の医者のトップに立つ日本医師会会長の座を巡って、
爺さん同士の血みどろの抗争が繰り広げられます。

ほんと人間って、何歳になっても、どこの国でも、どんな職業であっても、
何人か集まればすぐに仲間外れだとか足の引っ張り合いだとか裏切りだとか、
そんなことが始まるんだなあと、つくづく嫌になりますが、それはそれとして、
この本を読んで一番びっくりしたことは“混合診療”についてでした。

“混合診療”とは、保険が効く治療と保険が利かない治療を併用することですが、
現在、国はこれを認めていません。認められていないので、あえてこれをやった場合、
保険が利く治療の分についても、患者が自腹で全額治療費を払わないといけなくなります。

ということくらいまでは元々知っていて、「こんなヘンな制度はやめて、保険が利かない
治療の分だけ、患者の自腹にすればいいじゃん。」と、思っていました。

これを緩和しようとしたのが、当時改革派とされていた小泉元首相。

この緩和の流れに反対したのが日本医師会で、このため日本医師会は抵抗勢力と見なされました。

しかし、この本の著者はこんなことを書いています。

これに反対する日医の主張にも一理ある。

混合診療が解禁されれば、必要な治療はすべて保険でまかなうという国民皆保険の前提が
崩れてしまう。保険の範囲内で治療するという概念が薄くなれば、医療費抑制という掛け声
の前に、保険が使える治療が縮小されていく可能性がある。そうなれば、自己負担が増えて
金持ちだけが高度な治療を受けられることにもなりかねない。

(中略)

混合診療が解禁されれば、患者にとって大きな負担を招きかねない。すると、健康保険以外
の民間の医療保険に対するニーズが増えてくる。

と。

そして、小泉が指名した、混合診療の緩和について検討する規制改革会議の議長は、
そんな民間保険を扱う会社、オリックスの宮内社長だったそうです。

なるほど〜。そんな見方もあったのかと、目から鱗でした。

モノゴトの表面っツラしか知らずに判断すると、ほんと危険だなあと思いました。

書評担当:175

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posted by 175 at 16:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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