去年のイスラム教のラマダン(断食月)は10月の初めから11月の始めまででした。ラマダン期間中、ムスリム(イスラム教徒)は日の出から日の入りまでの飲食が一切禁じられるため、皆朝暗いうちに朝食を摂り、日中は水一滴も口にしません。夕食は日が沈むとともにまず胃を慣らすためのジュースを飲み、少ししてから食事を始めます。
ラマダンは信徒が神への帰依心を明確に示す重要な期間として位置づけられていて、普段あまり礼拝をせず酒も飲んでいるムスリムもこのときだけは皆真面目に断食を守っています。ちなみに夫婦の営みも同様に日の出ている間は禁じられます。妊婦、病人、旅行者は断食しなくても構いませんが、後で同じ期間だけ断食をしなくてはいけません。子供は断食をしなくても構いません。断食は中高生くらいから徐々に始めるそうです。
ラマダン期間中、官公庁や企業では昼休みを無くしてその分早めに(午後3時頃)終業します。ただし学校は生徒が断食をしないのでいつもどおりです。市場も様子が変わり、普段夕方の市場は売り物があまり残っていなくて今日はもう店じまいといった雰囲気なのですが、この時期の夕方の市場には人も物もあふれていて活気があります。夕食用の粉ジュースの袋もあちこちで売っています(粉ジュースは1リットル用で20〜30円と安い)。職場が従業員に砂糖を配る習わしもあり、私の配属先のEMIGではニジェール人スタッフに角砂糖のパックが配られていました。断食月といっても、実のところ期間中の食料消費量は普段の時期より多くなるそうです(つまり昼間断食しても夜それ以上に食べているということ)。
この時期隊員が第一に困るのが昼食です。外国人向けの高級レストラン以外の食堂はほとんど昼間営業しないので、基本的に家で自炊するしかありません。学校配属の隊員なら昼休みがあるのでまだそれが出来ますが、官公庁配属の隊員は昼休みが無いので午後3時の終業までは断食に付き合うことになります。
そして第二に困るのが、この時期同僚が空腹でほとんど働かず、また不機嫌になってしまうことです。去年は赴任直後で仕事が少なくあまり気づかなかったのですが、今年は仕事をたくさん抱えていたのでこのことを痛感しました。職場は朝から既に気だるい雰囲気があり、正午以降はもうほとんど全く動きません。同僚に何か頼み事をしても明日にされます。一度、同僚と午後一緒に何か作業をやろうとした時は「お前は帰って昼ご飯食べなきゃいけないだろう?だから今日は出来ないよ。」と自分をだしにされて断られました。自分のカウンターパートはこの時期に禁酒禁煙もするので日中非常に機嫌が悪く、嫌みを言われたりしてかなりフラストレーションが溜まりました。
イスラム歴は太陰暦なので、太陽暦のカレンダーと比べると毎年10日前後ずつ早くなっています。あと15年もすれば酷暑の時期にラマダンが行われることになるでしょう。いったいどうやって日中水を飲まずにあの季節を過ごせるのでしょうか。イスラムの神も酷なことを定めたものです。
隊員はラマダン期間中、ニジェール人から断食を一緒にしろ、何でしないんだとかなりしつこくあちこちで言われます。断食は苦しくて体調も崩れるので実践する隊員はあまりいませんが、断食に付き合うと周りのニジェール人に非常に喜ばれるそうです。
ニジェール担当:ニジェ夫

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ニアメ一大きいモスク、グランドモスケで朝9時に行われたラマダン明けの礼拝。モスク周辺の広場いっぱいに人が男女別で集まって、一斉に礼拝をしていました。この礼拝は非常に重要で、普段身近な場所で礼拝をしている人もこの時だけは大きなモスクまで遠出をして礼拝します。大統領もこのグランドモスケの礼拝に来ていました。



