
過去60年間にわたり、1兆ドルを超えるアフリカ向け援助が行われてきたにもかかわらず、
見るべきものは多くない。
だが仮に、援助により本来達成すべきものが達成されなかったというように、
援助が無害なものであったというのならば、この本は書かれることはなかっただろう。
問題は、援助が慈悲深いものではなく有害である点にある。
援助はもはや潜在的な解決策の一部ではなく、実際には援助そのものが問題なのである。
こんな過激な主張がとても冷静に論理的に書かれていて、
なるほどなあと思うことが何度もありました。
ザンビアの首都ルサカに生まれ、ザンビアで教育を受けた後、
世界銀行やゴールドマン・サックスで働いたダンビサ・モヨさん渾身の一冊です。
彼女は、2009年5月に「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれています。
『援助じゃアフリカは発展しない』
ぼくも援助懐疑派なのですが、そんな発言をすると冷酷な人間のように思われそうで、
この手の話題のときは静かに黙っていることが多かったのですが、
この本を読んだおかげで、援助に対して感じていた違和感がかなりスッキリしました。
そして、援助を批判するだけでなく、
代替案(“中国と仲良く”とか“マイクロファイナンスを活用”とか)も示していますし、
援助を止めたらアフリカの貧困がさらに拡大して酷いことになるんじゃないか?というような、
素朴な疑問にもしっかり答えています。
ちなみにこの本で批判している援助は、国家間の援助(低金利ローンと贈与)のことであって、
災害時の緊急援助や慈善団体が行う草の根援助については特に触れていません。
書評担当:175
