
半導体関係の会社で働いている人、
それから古い体質のメーカーで働いている人にもおススメの一冊です。
『日本「半導体」敗戦』
各半導体メーカーがこの本を全ての社員に読ませて、
日本の半導体メーカーの何が問題なのかを認識させて、
その問題解決にみんなで真剣に取り組み始めたら、
ここ10数年、右肩下がりを続けている日本の半導体業界にも
光が射してくるかもしれません(そうなって欲しいです)。
かつて世界の半導体市場を席巻したNECや日立の半導体事業の一部
(DRAM事業)を切り出して作ったエルピーダという会社があるのですが、
この会社ができた当時は、たすき掛け人事や文化の違いや技術の違いが原因で、
会社がどれだけ酷い状況になったか(当時の社員にとって「地獄」だったそうです)
を読むと、読んでるだけで胃が痛くなります。
しかし、強力なリーダーシップを持つ経営者が外部から招聘され
社長になったことで、このダメ会社は一気に変化していき、
業績も急回復します(この辺のエピソードは熟読してしまいました)。
でもこの会社でさえも(そしてその他の日本の半導体メーカーは当然)、
まだまだ問題をたくさん抱えていると、著者は指摘します。
そしてその指摘がことごとく、
「なるほど。」と納得させられてしまうものなのです。
もっと早く、この本が世の中に出ていたらよかったのになあ。
ちなみに、別人ですが同じく元・日立社員が書いたこの本も、
読み応えがありました(元・日立社員は本をよく書きますね)。
こちらは、半導体業界全体の動向について書かれています。
書評担当:175
