
去年、派遣切り問題が毎日のように騒がれていた頃、
派遣切り問題をテーマにした討論番組をテレビで見ました。
人材派遣会社の社長とか大企業の社長とか厚労省の副大臣とか、
いろんなタイプの人が出演していたのですが、
その中で一番印象に残ったのが、
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長の湯浅誠さん。
同じ番組に出てたどっかの熱血バカ社長とは対照的で、
熱血バカ社長が、「派遣切りされたって、みんなだいじょぶだよ!」とか、
「暗くならずに明るくがんばってたらいいことあるよ!」とか、
まったく単細胞としか思えない発言を本気でしているのを横目に、
静かに淡々と筋の通った意見を言っていました。
去年末には、その番組で一緒だった副大臣の協力も得て、
年越し派遣村を運営したりしていて、意外と行動力もあるんだな、
と驚いたりしたのでした。
そんな湯浅さんの本を読んでみました。
『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』
貧困問題の構造とか、貧困撲滅への取り組みについて冷静に書いてあるのですが、
一番驚いたのは、
北九州市で2005年から3年連続で餓死者が出ているとか、
2008年には、浜松市役所前の路上に救急車で運ばれてきた
行き倒れの野宿女性(70歳)が「ご飯が食べたい。」と言ったのに対し、
福祉事務所職員が女性の上に非常用乾燥米を置いただけで放置したため、
1時間後に死亡したとか、こんなことが日本でも起きていることでした。
貧困なんてどこか別の国の話だと思ってた…
書評担当:175
