2009年07月10日

『神の棄てた裸体』 石井光太

kaminosuteta.jpg

絶対貧困』がスバラシイ本だったので、
石井光太さんの他の本も読んでみました。

神の棄てた裸体

あの厳格なイスラム世界の裏社会の性(社会が目を背けるような性)が
テーマということもあり、かなり危険な本なので、
ここで紹介するつもりも無かったのですが、
これまたあまりにもすごい本だったので、やっぱり紹介することにしました。

イスラム世界の裏社会の性の、リアルな実態を知るため、
著者の石井さんは、インドネシアのスラム街の売春宿で住み込みで働いたり、
中東ヨルダンのナイトクラブでバーテンになったり、
米軍占領後のアフガニスタンに行ったりします。

もちろん、こんなことしてるのは、全然すごいことではありません。
こんな危険なことは止めたほうがいいのは間違いないんだけど
(ほんとこの人、命がいくつあっても足りない・・・)、
ただ、そこまで生活の中に入り込んでいった上で紹介している、
リアルなエピソードは、ひとつひとつどれも凄まじいです。

その圧倒的に厳しい現実のパワーを目の当たりにして、
石井さんが余りの不条理に、たまに義憤に駆られて、
正義とか倫理とか善悪を振りかざす時もあるんだけど、
全く歯が立ちません。いつもコテンパにやられてしまいます。

そして自己嫌悪に陥ったり、逃げ出したりするのですが、
そんな時の石井さん自身の気持ちに、とても共感ができます。

今年一番、泣いた本です。

本を読み終わったら、石井光太さんオフィシャルサイトの、
取材写真もチェックしてみてください。

書評担当:175

P.S.
読売新聞産経新聞にも書評が載っています。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

posted by 175 at 15:45| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。