『絶対貧困』がスバラシイ本だったので、
石井光太さんの他の本も読んでみました。
『神の棄てた裸体』
あの厳格なイスラム世界の裏社会の性(社会が目を背けるような性)が
テーマということもあり、かなり危険な本なので、
ここで紹介するつもりも無かったのですが、
これまたあまりにもすごい本だったので、やっぱり紹介することにしました。
イスラム世界の裏社会の性の、リアルな実態を知るため、
著者の石井さんは、インドネシアのスラム街の売春宿で住み込みで働いたり、
中東ヨルダンのナイトクラブでバーテンになったり、
米軍占領後のアフガニスタンに行ったりします。
もちろん、こんなことしてるのは、全然すごいことではありません。
こんな危険なことは止めたほうがいいのは間違いないんだけど
(ほんとこの人、命がいくつあっても足りない・・・)、
ただ、そこまで生活の中に入り込んでいった上で紹介している、
リアルなエピソードは、ひとつひとつどれも凄まじいです。
その圧倒的に厳しい現実のパワーを目の当たりにして、
石井さんが余りの不条理に、たまに義憤に駆られて、
正義とか倫理とか善悪を振りかざす時もあるんだけど、
全く歯が立ちません。いつもコテンパにやられてしまいます。
そして自己嫌悪に陥ったり、逃げ出したりするのですが、
そんな時の石井さん自身の気持ちに、とても共感ができます。
今年一番、泣いた本です。
本を読み終わったら、石井光太さんオフィシャルサイトの、
取材写真もチェックしてみてください。
書評担当:175
P.S.
読売新聞や産経新聞にも書評が載っています。
2009年07月10日
『神の棄てた裸体』 石井光太
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