ぼくより1才年下の石井光太さんが自ら、
インドやタイやカンボジアやアフリカ各国のスラムや売春窟や路上で
暮らしている貧しい人たちと一緒に生活をして、
その体験に基づいて世界の貧困問題を紹介しているこの本。
『絶対貧困』
不謹慎な言い方ですが、おもしろかった。
それも、すごくおもしろかったです。
だいたいこういう本は、例えば、「売春婦はかわいそう。」とか、
「ストリートチルドレンは必死で生きてがんばってる。」とか、
一方向からの目線で書かれていることが多いのですが、
石井さんは、彼らと一緒に生活しただけあって、目線が複雑です。
あまりにも過酷で悲惨すぎて、読んでて苦しくなるエピソードも、
笑っちゃいけないんだけど、想像すると滑稽で笑ってしまうエピソードも、
すごくいいです。
それからかなりレベルの高い小ネタも載っています。
例えば。
これは日本の人口ピラミッドです。
データは全て、総務省統計局のHPから引用しています。
なんか昔、社会の授業で習った見覚えのある図ですね。
一方、インドネシアの人口ピラミッドはどうなっているかというと。
インドネシアには、貧しい人がたくさんいます。
当然、路上生活者もたくさんいます。
そして、路上生活者は、カレンダーなんて持っていないので、
自分の年齢が分かりません。
なので、「確か25歳くらいだったかも。」とか、
「そろそろ30歳くらいかなあ。」とか、
そんな感じで何となく自分の年齢を認識しています。
つまり、人口ピラミッドを作る時、路上生活者に年齢を聞くと、
25とか30とか、切りのいい数字を答えるのです。
なのでインドネシアの人口ピラミッドは、
これはウケました。
書評担当:175
2009年06月12日
『絶対貧困』 石井光太
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