2008年12月18日

今週読んだ本 その7





久しぶりの今週読んだ本シリーズ。
今週読んだわけではなく、ちょっと前に読んだのだけど。


今年は、ブラジル移民100周年の年
ということで、ブラジル移民をテーマに描いたこの大作を読んでみた。

04年本作で大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を
とったというこの作品。

「ワイルド・ソウル」

ストーリーは、背表紙に書かれているのを引用。

1961年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に
降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。
その四十数年後、三人の男が東京にいた。
衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、
歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。

というもの。

ブラジル移民政策という失政をテーマに、それに翻弄された人たちの復讐劇で、
次のページを開くのが待ち遠しいほど面白い。
仕事中も気になって、法律書を読むふりをしつつ読み続けて、あっという間に全部
読んでしまった。

戦後の日本でこんなことが行われていたんだという事実を、ちゃんと知らなかったので、
非常に興味深く読むことができたというのと、実際に南米を取材しに行ったそうで、
その取材のときの様子を書いたエッセイ「ラティーノ・ラティーノ」も面白いが、
圧倒的な臨場感で、遠い異国の様子がありありと伝わってきた。


暴力的・アウロトー的な男性が魅力的に書かれているので、そういうのが好きな人は、
はまるかもしれない。

この作者の本は、初めて読んだけど、ついでに、近くのブックオフで置いてある本5冊
全部買うという、たいしたことない大人買いをしたけど、
「君たちに明日はない」と「ヒートアイランド」は、どちらも、テンポよくストーリーが
進み、読みやすいし、面白かった。

君たちに明日はない」の主人公は、リストラ請負人という仕事をしていてリストラを
しようとする会社から、専門家として業務委託を受けて、面接して従業員をやめさせる
というもので、架空の職業なんだけど、今のこの時代、ほんとにありそうで、なんか
怖さを感じつつ、大阪にいる友人の顔を思い浮かべたりしつつ、これも一気に読み終えた。


シーマン
posted by 175 at 11:36| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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