
○チャイルド44
上下巻あわせて700ページを超える分量だけど、海外の小説って、独特な外国語の
表現方法が訳された日本語にも反映されて少し苦手なんだけど(とはいえ原文で
読める語学力がないので翻訳されたのを読むしかないわけだが。)、一気に読み
終えるほど面白かった。
ソビエトで実際に起きた連続殺人をモチーフにして、作られたらい。
ソビエトでは、スターリン体制のもと、凶悪犯罪はないもの(そういった犯罪は
資本主義の歪んだ社会で起こりうるもので、理想的な社会である共産主義の
ソビエトでは起こりえない)と考えられていた。
したがって、万一そうした事件が起きたとしても、公にはされずに、世の中の
好ましからざる者とされている人たち(障害を持った人や同性愛者など・・・)
に罪が押し付けられて、証拠もないのに何人もの人が罰せられていた。
(社会に好ましくない影響を与える、という恣意的な理由で、大勢の人間が
逮捕され、殺された)
といったような、えげつない内容が克明に描かれ、小説とはいえ、現実にソビエト
では行われていたっぽく感じられて、本当に怖い。(ロシアではこの本は
発禁処分になったらしい。。。)
圧倒的な臨場感で、読み出すと止まらないこと、食べだすと止まらないJagabeeのごとし、である。
秋の夜長の読書に、ぜひともオススメの小説である。
シーマンショック