久しぶりの今週読んだ本シリーズ。
今週読んだわけではなく、ちょっと前に読んだのだけど。
今年は、ブラジル移民100周年の年。
ということで、ブラジル移民をテーマに描いたこの大作を読んでみた。
04年本作で大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を
とったというこの作品。
「ワイルド・ソウル」
ストーリーは、背表紙に書かれているのを引用。
1961年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に
降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。
その四十数年後、三人の男が東京にいた。
衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、
歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
というもの。
ブラジル移民政策という失政をテーマに、それに翻弄された人たちの復讐劇で、
次のページを開くのが待ち遠しいほど面白い。
仕事中も気になって、法律書を読むふりをしつつ読み続けて、あっという間に全部
読んでしまった。
戦後の日本でこんなことが行われていたんだという事実を、ちゃんと知らなかったので、
非常に興味深く読むことができたというのと、実際に南米を取材しに行ったそうで、
その取材のときの様子を書いたエッセイ「ラティーノ・ラティーノ」も面白いが、
圧倒的な臨場感で、遠い異国の様子がありありと伝わってきた。
暴力的・アウロトー的な男性が魅力的に書かれているので、そういうのが好きな人は、
はまるかもしれない。
この作者の本は、初めて読んだけど、ついでに、近くのブックオフで置いてある本5冊
全部買うという、たいしたことない大人買いをしたけど、
「君たちに明日はない」と「ヒートアイランド」は、どちらも、テンポよくストーリーが
進み、読みやすいし、面白かった。
「君たちに明日はない」の主人公は、リストラ請負人という仕事をしていてリストラを
しようとする会社から、専門家として業務委託を受けて、面接して従業員をやめさせる
というもので、架空の職業なんだけど、今のこの時代、ほんとにありそうで、なんか
怖さを感じつつ、大阪にいる友人の顔を思い浮かべたりしつつ、これも一気に読み終えた。
シーマン