2012年10月06日

『オリンパスの闇と闘い続けて』 浜田正晴

 

読んでる間じゅう、こんなことが現実に起きているなんて(それも一部上場企業で。)、
信じられない気持ちに何度もなりました。

オリンパスで上司の不正を会社のヘルプラインに内部通報したら、会社ぐるみで陰湿な
イジメを受けた(今も受けている。)現役社員、浜田正晴さんが自ら書いたこの一冊。

オリンパスの闇と闘い続けて

トップ営業マンだった浜田さんは、上司の不正を会社のヘルプラインに内部通報したことで、
役職を解かれ、閑職に追いやられ、同僚との接触禁止を言い渡され、長期病欠者よりも低い
人事評価をつけ続けられることになります。
そして、その不当な扱いを相談した上位上司にも、担当役員にも、人事部にも、さらには
労働組合にまで裏切られ、社長にまで直談判するのですが、この社長がよりによって、
現在刑事被告人のあの菊川(※)だったりと、信じられないくらいの運の悪さが重なり、
とうとう会社に対して訴訟を提起することになります。
(そんな中で、浜田さんの家族の支えは感動的です。家族だけは裏切らないでいてくれて
ほんとよかった。)

そして、一審敗訴、二審で逆転勝訴となるまでの、闘いの記録をまとめた一冊です。

※菊川は、オリンパスの不正を追求したウッドフォード前社長を解任したオリンパスの支配者。
 (社長でもクビになるんだから、浜田さんみたいな普通の社員が歯が立つわけがない。)
 しかしその後、FBIなどの海外の捜査機関がオリンパスの不正を調べ始めたため、
 観念したオリンパスが不正を認めて、菊川は退任。2012年2月に逮捕。
 この解任劇については、これまたウッドフォード前社長自ら書いた『解任』に詳しいです。
 他にも、オリンパスの不正をすっぱ抜いたジャーナリストの『サムライと愚か者』、
 そして、日本の大手マスコミが、CMスポンサーのオリンパスに気を使って報道を控えていた時に、
 堂々とオリンパスの不正追求の狼煙を上げた雑誌「FACTA」の編集メンバーが書いた一冊、
 『オリンパス症候群』もおもしろい。

それにしても、大人の社会でこんな陰湿で薄汚いイジメがあるんだから、
これでは子供にイジメはやめなさいといっても説得力ないなあ。

書評担当:175

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2012年09月21日

『バイオハザードV;リトリビューション』(☆☆)

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バイオハザードV;リトリビューション

待ちに待っていたわけでもないのですが、これまで全エピソードをDVDで観てきたので、
今回は、またもや3Dにつられて、公開翌日に満席の劇場まで観に行ってしまいました。

バイオハザードシリーズは、ゾンビ映画としては秀逸な作品で、さらに新作のほうが面白い、
という珍しい作品だったのですが(特に、カラスの大群に襲われるパートVは、ゾンビ映画の
常識を超える壮大さ!)、パートVに来てとうとうそのジンクスが崩れ、ストーリー的にも
映像的にも、全くの期待はずれに終わりました…残念!
中島美嘉があそこまでキモいゾンビ役をやったことには、少し感心しました。)

やっぱりこういうSF映画は、現実の世界でこんなことがあったら?という面でのリアルさを
とことん追求して、映画の世界にのめり込ませて欲しいので、
今回の映画のように、場面設定が仮想世界というだけで興ざめしてしまいます。

しかし!

最後のシーンは、仮想世界を抜け出したアリスたちが直面する現実の世界が舞台で、
次回作(最終作)への期待を持たせるすごい映像だったので、
何年後かにやってくる『バイオハザードY』を今から楽しみに待つことにします。



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2012年08月28日

『プロメテウス』(☆☆☆)

prometheus.jpg

ここ最近、3Dで観たくて映画館に足を運ぶことが増えました。

“人類の起源”なんていう興味をそそられるサブタイトルに誘われて観てきたこの映画も、
そんな映画のひとつです。

プロメテウス

砂嵐のシーンや宇宙船の墜落シーン、神殿でのホログラムのシーンなんかは、
とてもよく作りこまれているので、絶対3Dで観ることをオススメします。

アバター』のカラフルさとはまた違った、ダークだけどリアルな3D体験が楽しめます。

ちなみにストーリーはというと。

リドリー・スコット監督といえば、『エイリアン』や『ハンニバル』が有名ですが、
この映画も途中から『エイリアン』でした。。。

それから、“人類の起源”は残念ながらよく分からなかったけど、
“エイリアンの起源”は、この映画を観れば一目瞭然です!
(知りたい人がそんなにいるとも思えませんが。)


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2012年03月10日

『エロティック・ジャポン』 アニエス・ジアール

 

日経新聞で紹介されていて気になっていたこの本。

エロティック・ジャポン

フランス人女性ジャーナリストが10年の歳月をかけて書き上げた大作です。

日本人でも知らない日本のエロ文化やサブカルチャーの数々が紹介されていて、
「まったく日本人はよくこんなことを考えるなあ」と、感心することしきり。

さらに、単なる紹介に留まらず、そこから日本人の性格や歴史や文化にも斬り込んで
いっているところがこの本のスバラシさです。
(ただ、けっこう間違い・勘違いも多いのですが、それもまたご愛嬌。)

例えば、『日本では女性のパンティーを覗き見ることに男たちが熱をあげているが、
それは、アニメのドラゴンボールにおける伝説の武闘家“亀仙人”が、
パンティーを見ることでパワーアップすることからも明らかである。
この感覚は、日本だけのものであり外国人には共感できないので、
ドラゴンボール翻訳版では、パンティーではなくお金に書き換えられている。』
とか、こんな興味深い洞察が繰り広げられています。

ちなみに、日本には全童連という組織があって、童貞くんたちに希望と経験を
与えているというネタも紹介されていたのですが、
その章の中に、前から疑問だったチェリーボーイの語源が書かれていました。

ウブだからシモネタですぐ顔が“さくらんぼのように”真っ赤っ赤になるので、
チェリーボーイというそうです。

この本から仕入れた知識をもとに、日本にはこんなヘンな文化があるんだよと
外国人の友だちに教えてあげたら、喜ばれること間違いなしです。

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2012年01月30日

『東京スカイツリーと東京タワー』 細野 透

 

世間一般並みに、今年の開業を楽しみにしている“東京スカイツリー”ですが、
別にスカイツリー関係の本を読むまでのファンではありませんでした。

が、この本の切り口には興味を持たざるをえません。副題がすごい!

東京スカイツリーと東京タワー 〜鬼門の塔と裏鬼門の塔〜

「浅草寺・寛永寺・神田明神が守っている、今は皇居となっている江戸城の鬼門(北東)の
方角に新しく建った東京スカイツリーはどのような役割を果たしているのか?」とか、
「増上寺が守っている江戸城の裏鬼門(南西)方角にそびえ立つ東京タワーの意味は?」とか、
こういう系の話好きには無視できない一冊です。

しかし残念ながら、東京スカイツリーを鬼門の塔、東京タワーを裏鬼門の塔と位置づける試みは、
消化不良というか、もう少しうまくこじつけできなかったのかなあという感じでしたが、
それでもなお、「江戸はなんで江戸というのか?」とか、
「上野の西郷さんの像は、なぜ上野に建っていて、そしてどこを見つめているのか?」とか、
「今も丸の内にひっそりと佇む平将門の首塚の祟りとは?」とか、
気になるネタが盛り沢山なので、一読の価値ありです。

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2011年09月19日

『日本人の9割に英語はいらない』 成毛眞

 

海外駐在したとか、英語ができるとかいうことだけで“スゴイ人”という
扱いをされている人を見るたびに、「英語できるだけで偉そうに。」と、
覚めた目で見ていたのですが、英語ができない私がそういうことを言っても、
「英語できない癖に何言ってんだこいつ。」と思われて終わりになるので、
そんな発言はできずにモヤモヤしていたのですが、

マイクロソフト元社長の成毛眞さん(もちろん英語はネイティブレベル)の
この新刊本を読んで、心底スッキリしました。

日本人の9割に英語はいらない

帯に書かれたひと言は、
「英語ができても、バカはバカ」

目次の一部を挙げるとこんな感じです。

第1章 本当に英語は必要なのか
 ・頭の悪い人ほど英語を勉強する
 ・創造力のない人ほど英語を勉強する
 ・本当に英語が必要なのは1割の人
 ・早期英語学習は無意味である
 ・自信がないなら通訳を雇えばいい
第2章 英語を社内公用語にしてはいけない
 ・「チョドメ企業」の愚かな選択
第3章 本当の「学問」をしよう
第4章 日本の英語教育は日本人をダメにする
 ・帰国子女は不幸である
第5章 英会話を習うより、本を読め!
第6章 それでも英語を勉強したい人へ〜成毛流英語学習法

この本を何度も読み返しながら、海外旅行をもっと楽しめるようになるために、
そして、海外の友人ともっと話せるようになるために、英語の勉強を続けよう
と思いました。

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2011年08月16日

『告白』(☆☆☆☆)

kokuhaku.jpg

下妻物語』と『嫌われ松子の一生』がとても面白かったので、
女子高生ばかりの観客に混じって、男一人で劇場に観に行った
パコと魔法の絵本』から2年。

中島哲也監督の新作は、これまでとは全然違うタイプの映画だったけど、
これまた見応えある作品でした。

告白

映画をひと言で説明すると、娘を殺された女教師の復讐劇なのですが、
単なる犯人探しがメインにはなっていなくて(犯人は最初の30分ですぐ判明)、
予想外のストーリーが展開されていきます。

とにかく(芦田愛菜ちゃん以外の)登場人物がみんな怖い!

清純派イメージの松たか子は、主人公の女教師・森口役として意外にも怖いし、
演技がウマイ木村佳乃は、犯人Bの母親役でめちゃくちゃ怖いし、
犯人A、Bを始めとする1年B組の子供たちも怖い。

そして、その怖さが、映画という別世界の中での怖さではなく、
身近にありそうな怖さなので、精神的にゾッとして背筋が寒くなります。

今年の暑い夏にお勧めの一本です。

映画担当:175



posted by 175 at 00:37| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする